リールのスペックを語る上で、多くの方が気にすると思われるベアリング数。
そのリールにベアリングが何個使われているかどうかで、リールの価値すら変えてしまう魔法の数字ですね。
同じ価格帯ならベアリング数の多いリールを選ぶという人も少なくないのではないでしょうか?
安いリールにベアリングを追加していって、ベアリングの数を増やすことに快感を覚える人もいますよね。
それはそれで楽しみ方の一つだと思いますし全然アリだと思います。
ただ私にとってはベアリング数って、実はどうでもいい数字なんですけどね。
最低限入っているべきところにさえ入っていれば。
そもそもベアリング数が1個や2個違ってても、ぶっちゃけ私にはその違いなんか分かりませんw
ボディ剛性や精度からくる違いは分かりますけどね。
今回はそんなベアリングの話をしてみようと思います。
そもそもベアリングって何のこと?
そもそもこのベアリング、釣り業界においては主にボールベアリングの事を指します。
転がり軸受と呼ばれる部品で、中で球が転がることによって軸を受ける構造になっています。
その対称に扱われるのが滑り軸受と呼ばれる部品で、そのまま摩擦で軸を受ける構造です。
ブッシュとも呼ばれるその滑り軸受も実はベアリングの一種ではあるのですが、釣り人からは安物の代名詞のように扱われているみたいですね。
ボールベアリングはその滑り出しの軽さや高回転に向く特性から、滑らかなリールの回転には必要不可欠な存在です。
難しい専門的な話はここでは割愛しますが(私も詳しく語れる程の知識はない)、場所と用途によっては必ずしもボールベアリングである必要もなければブッシュのままで良いと考えています。
むしろブッシュの方が良い場合だってあるとすらも考えています。
量産品レベルでのボールベアリングとブッシュの原価の違いがどれ位あるのか、それがどの程度商品価格に関わってくるのかは素人の私に知る由もありませんが、
少なくとも私はメーカーはベアリング数でリールのグレードを表現していると考えています。
ユーザーに分かりやすいスペック上での差別化というわけです。
もちろん家電などの量産品は単価あたり何銭というコスト削る為に絶え間ない努力をしているというのも存じ上げていますが、
ことリールのベアリング数に関しはコストというよりグレードの表現の方が大きいような気がしてなりません。
知らんけどww
私はドノーマルで使うけど、チューニングも面白いですよ。
前にどこかで書いたり言ったりしていると思いますが、私は基本ドノーマル派です。
つまりはリールを買ったそのままの状態で使っているんですね。
私がリールを改造しない理由は主に二つあって、
- 動画を観ている方の参考になるから
- ここ一番の尖った性能よりも、一日を通して安定した性能を求めるから
という考えのもと使っているからになります。
1. 動画を観た人が参考にしやすいように
YouTubeで動画配信を始めた頃は特にそういう事も気にすることなく、古いタックルでも改造したタックルでも構わず使っていました。
徐々に観てくださる方が増えてくるにしたがって、タックルに関する質問も多くいただくようになったんですね。
そんな時に改造したり自作したロッドやリール等を使っていたのでは、あまり参考にならないのかな?
という考えから、今では現行で購入できるタックルをできる限り購入したままの状態で使うようになりました。
(改造の仕方を知りたいという方も中にはいるでしょうが、私の行う改造は買ってきた部品の交換というよりも部品の加工が多くなってくるので万人向けではないんですね。)
もちろんハンドルやドラグ等、どうしても我慢できない部分や譲れない部分には手を入れることもありますが、
性能や特性に直接関わる部分はできる限りそのまま使うということをモットーにしています。
海でのベイトタックルはここ数年で急速に認知され普及してきている感はあるのですが、まだまだ不安や固定概念が拭えない方も多いと思うんですね。
そういう方が同じタックルを使って同じ釣りをトレースしやすい様に、今の私のドノーマルスタイルがあるのです( ̄ー ̄)b
2.ここ一番の尖った性能よりも、一日を通して安定した性能を求めている
今のタックルはとても高性能です。
ハッキリ言って、そのまま使うことに性能面では何の不満もないのが正直なところなんですね。
時にはあともう少し飛べば・・・なんて思うことも無いといえば嘘になりますが、ほぼほぼ満足して使っています。
私の技術がまだ未熟というのも大きいんですね。
キャスティングにおいて限界ギリギリまでの性能を絞り出す様な使い方には到底ほど遠く、その日の気分や状況でコロコロ変わる様なレベルですからね。
繰り返しの練習でまだまだどうにかなるレベル、未だにそういう段階なんです。
そういう状態で練習する時、私ならとにかく練習に集中できるマシンを選ぶという事なんです。
マシンといえば・・・そう例えて言うならオートバイを例にあげてみたいと思います。
ちょっと話が脱線しますが・・・お付き合いくださいw
もしも例えばオートバイのレースに出るのなら・・・
今どきのオートバイはとても高性能です。(リールと同じですね)
免許の有無はさておいて誰でもお金さえ払えば買うことが出来ますが、1000㏄クラスともなると時速300㎞というとんでもないスピードもブリッと出てしまう性能を持っているのです。
普通の人がその性能を出し切るなんて、ほぼほぼ不可能に近いのです。
もちろんその性能を出し切ることなく、その辺を普通に運転するなら誰でも出来るでしょう。(免許持ってればね)
もしもそれでレースにでも出ようもんなら、まずは乗りこなす為に必死に練習しなくてはなりませんね。
その時ろくに乗りこなせもしないくせに、あれやこれやと色んなパーツを交換したがる人って必ずいます。
そりゃもう沢山います。
マフラーやらサスペンションやらブレーキやらECUやら・・・(別に否定はしませんけどね)
雑誌に載ってたから、速い人がお勧めしていたから、自己満足・・・。
(リールと同じだと思いませんか?w)
自己満足としては良いでしょうけど、大抵の場合余計扱いにくくなったりセッティングの幅やチャンネル数が増えたことによって訳が分からなくなって、余計危ない状態に陥ったりします。
そういうもんです。
違いや変化が分かるどころか、毎回同じように刻めるようなレベルで走れないので『基準』が全く分からなくなってしまうのです。
トップ争いをするようなレベルであれば、あと0.01秒を削る為に必要となるチューニングやパーツがあることでしょう。
それが勝敗をも決めることにもなりますから。
違いが分かるレベルに来るとその違いは限りなく大きく、違いが分からないレベルではその違いは限りなく小さくなるのです。
むしろ違いが分からないどころか、オイルやパーツの走行時間単位での管理が必要になり練習に集中すらできなくなってしまうのです。
(そして壊すww)
そう、リールでいうなら
- あともう少し、最後の伸びが欲しい・・・
- なんとか0.1gでも軽いリグで釣りがしたい
- ひたすら滑らかな回転が好き
というのに似ているかもしれませんねw
そのためのベアリング交換に高級オイルなんです。
もちろん通常の釣りにおいても、『その違いが気持ちいい、楽しめる』のであれば全然アリですしそりゃ楽しいですよ。
ただし、朝から晩まで時には潮を被って投げ続ける釣りにおいて、その尖った性能や特性を維持できるのかどうか。
毎日の様に海に釣りに行き、その都度水洗いをしたリールが1か月後どうなっているのか。
毎回走行ごとにバラバラにして入念にチェックするレーシングマシンよりも、とりあえず定期的にオイル交換と最低限のメンテナンスをして走り続けられる普通のマシンの方が性に合っているということです。
因みに以前長い間使っていたアンバサダー1500Cや5000等は、2~3時間の使用であからさまに回転性能が低下していましたね。
レベルワインドやスプールベアリングにシャバいオイルを入れていたのがその理由だと思いますが、とにかく毎回バラしていた記憶があります。
どうせ交換するなら『良いベアリング』を!ベアリングにも優劣がある
ここまで私はベアリングの交換には興味がないことを主張してきましたが、メンテナンス等でもし交換する時のことを書いておきます。
私はアブガルシア純正部品をよく取り寄せして利用していますが、ベアリングに関しては基本的に純正品は使いません。
取り寄せに時間が掛かるしメンドクサイので。
ベアリングは規格品なのでその型番もしくは外寸で入れ替え可能なベアリングを探すことが出来ます。
(外寸が同じでも、シールドの有無、球の大きさや個数違いにより、その特性は変わってきます)
リールで使うベアリングはミニチュアベアリング(だったかな?)と分類されているサイズになりますが、国内でもいくつかのメーカーから製造販売されています。
NTN NSK NMB あたりがメジャーでしょうか。
基本的にはこの辺のメーカーから選んでおけば大きく失敗することはないはずです。
たまにネット通販で10個セットなんかで売っている激安ベアリングの事をTwitterなどで見かける事がありますが、あれは手を出さない方が無難かと思います。
上記したメーカー製なら問題ありませんが、『アチラ製』のベアリングは当たり外れが大きいというか外ればかりと認識した方がいいでしょうね。
中にはまともなものもあるかもしれませんが・・・。
アチラ製は10年前と比べると特にIT関連では急速に進化しており、特にPCやスマホに関してはむしろ追い越されているとすら思わされます。
(イメージセンサー等の主要部品は日本製ですが、これに関しても話すと長くなるので割愛)
しかしながら未だ精密加工や金属素材に由来しているものに関しては、圧倒的に日本製だと認識しています。
それ以外の分野は知りませんw
ベアリングに関しても同様で、国産ベアリングのその回転性能や耐久性は絶対と言っても過言ではありません。
国産のベアリングですら同規格の物でもバラツキがあり、同一ロットで製造されて検品で弾かれる製品がある一方で、特に優秀とされる『貴族』なベアリングも存在するほどです。
その『貴族』は一般には出回らないらしいのですが、ある業界の元関係者のところで血統書のような検査官の判が押されている検査証付きのベアリングを見せてもらったことがあります。
リールに使うようなミニチュアベアリングにその『貴族』が存在するかは分かりませんが、少なくともアチラ製は避けておいた方が無難という事だけは伝わったでしょうか?
リールアフターパーツを専門で扱っているメーカーもありますので、そこから購入するのが最も『遊べる』かもしれません。
どこかで聞いた話だと、そのメーカー内で独自に『貴族』なベアリングを探して使っているとかどうとか・・・
ベアリングメーカーから型番を拾って購入するより割高にはなりますが、所詮リールのベアリングなのでそこまで高価ではないですしね。
高級オイルもちょこっと入って3000円とかしますが、あれだけあればしばらくの間使うことが出来ますのでそこまで高価って訳でもありません。
そこに『楽しさ』を見出せる方なら遊ぶのもありですね。
繰り返しになりますが、私はそこで遊びませんけどね。
3000円のリールなのに11BBの謎
ついでに書いておくと、Amazon等で見かける激安リールがあります。
それらは信じられない価格設定と、主要メーカーの『ランク付け』を無視するかのようなベアリング数を誇っていますよね?
3000円のリールで11ボールベアリングとか。
ここまで読んで頂いた方なら察しが付くかと思いますが、ボールベアリングの形をしたボールベアリングみたいな一応ボールなベアリングが11個入っているということです。
もしかしたら初期性能はそこそこ良いかもしれません。
もしかしたらそこそこ性能が持つかもしれません。
運が良ければね。
宣伝広告費や中間マージンを削ってるとはいえ、価格なりの材質、価格なりの精度や作り、価格なりの部品(ベアリング含めて)。
ただ、別にその様な激安釣り具を否定する気も更々無くて、それらを欲している人や予算の限られた人は、それらを踏まえた上で積極的に使われたら良いと思います。
安いタックルだって釣りを楽しむことは出来るんですからね( ̄ー ̄)b
釣りの遊び方なんてものは人それぞれですから。
最後に
長くなってしまったのでそろそろこの辺にしておきたいのですが、一言でベアリングと言っても色々あるよということで。
数が全てではないし、無意味に低品質なベアリングに替えても自己満足にしかならないよということです。
違いが分かる人は、その違いを楽しんでください。
私はもともとアブのアンバサダー5000というリールをずっと愛用してきました。
このリール、購入時のボールベアリング数は0なんです。
そう、1個もボールベアリングは入っていませんでした。
その後スプールにだけはということでラジコン用のベアリングを買ってきて入れてしばらく使っていましたが、そのうち社外製のベアリング入りレベルワインドやベアリング入りのコグホイールも使ったりしましたっ。
そこで感じたのは、ブッシュにはブッシュの良いところがあるということ。
スプールの純正ブロンズベアリング(青銅製のブッシュ)は、その静粛性と大きいプラグがゆっくり飛んでいく特性等、近距離のトップウォーターのコントロール性が良さそうだと思いましたし、
社外製のボールベアリングが入ったレベルワインド関連パーツは、あまり効果が分からなかっただけではなく、逆にオイルを指しにくかったりと良いことは一つもありませんでしたね。
今ではスプール軸受とメインギアシャフトの根本とワンウェイベアリング、最低その辺にボールベアリングが入っていればあとはブッシュでもいいかな?と考えています。
高回転、高負荷が掛かるところはボールベアリングの方が向いていると感じていますが、低回転、低負荷の場所はブッシュで無問題です。
ハンドルは使用目的にもよりますが、あまり繊細な釣りでなければブッシュでも良いかなと。
もちろんグリスがべっとり入って動きが硬かったり砂が噛んでいたりキュルキュル音が出るような状態は論外ですが、ちゃんとメンテナンスされた状態ならブッシュも悪くないと思うんですね。
樹脂製のブッシュは負荷を掛か続ければ減ってしまう難点もあるので、ガタが来たらその時のタイミングでボールベアリングに交換すればいいかなと思っています。
その程度の話なのです。
机に向かってリールをクルクル回す趣味がある私ですが、机に向かって回すリールに限りない滑らかさを求める趣味はないというわけですね。
おわり